研究課題/領域番号 |
20403005
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
湯田 利典 神奈川大学, 工学部, 教授 (60092368)
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研究分担者 |
立山 暢人 神奈川大学, 工学部, 教授 (30102239)
日比野 欣也 神奈川大学, 工学部, 教授 (80260991)
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キーワード | ヤンパーチン / 空気シャワー観測装置 / knee領域 / 宇宙ガンマ線 / 宇宙線異方性 / 水チェレンコフ検出器 / コア検出器 / 太陽の影 |
研究概要 |
チベットのヤンパーチン高原(標高4300m)に空気シャワー観測装置を日中共同で設置し、高エネルギー宇宙線及び宇宙ガンマ線の観測・研究を行なっている。現在の装置は約800台のシンチレーション検出器(各0.5m^2)を7.5m間隔の碁盤目状に配置したもので、その総有効面積は37000m^2と世界最大規模である。この装置によって、かに星雲、活動銀河核(Mrk501, 421)からの10TeV領域ガンマ線の観測、白鳥座領域のいくつかの広がったガンマ線源候補、knee領域を含む0.1-100PeVの3桁に及ぶ一次宇宙線のエネルギースペクトルの観測、宇宙線強度の異方性などについて世界的評価の高い結果が得られている。ここ数年、この空気シャワー装置の地下約2.5mに総面積約1万m^2のミューオン検出器(水深1.5mの水チェレンコフ検出器で、各面積約800m^2x12プールの構成)を設置する計画を進めている。すでに建設された同タイプの面積100m^2のテスト実験により、予想通りの装置性能が得らることが分かった。この結果に基づき、本年度はこの内の4プール分(面積約3200m^2)の建設およびこれに関連する作業を約半年間かけて行った。この装置を全体調整した後、今年の6月頃までに空気シャワー装置と連動させてデータの収集を始める予定である。これと平行して、knee領域の一次宇宙線の核種分布を調べるため、空気シャワーコア検出器(124台の検出器を2m間隔の碁盤目状に配置)の設置も行った。このように、本年度の研究計画はほぼ予定通りに遂行された。物理結果については、宇宙線強度の異方性の解析とそのモデリング、フェルミ衛星で検出されたガンマ線点源の探索などが行われ、これらの成果は国際会議等で発表され、学術雑誌にも掲載された。現在、太陽による宇宙線の影と太陽磁場変動(第23期太陽活動変動周期に相当)に関する論文を作成中であり、近日中に学術雑誌に投稿する予定である。
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