研究課題
現在、急速な発展を遂げつつある東南アジア諸国では、かつて我が国が経験したと同様の地盤沈下が大きな社会問題となっている。例えば、インドネシアの首都ジャカルタでは、極度の人口集中や都市開発などによる過剰な地下水揚水が、地盤沈下や地下水の塩水化などの深刻な問題を引き起こしている。地盤沈下の観測手段として、現在では、GPSやInSARに代表される宇宙測地技術、また地下での質量移動を直接観測することができる絶対重力計などの精密重力測定技術が著しい進歩を遂げており、これらの手法を総合的に用い、異なる種類の観測データを統合することにより、地下水変動と地盤沈下の関係、海水の進入、地盤の圧密過程などを、一連の地球科学的現象として理解することが可能である。本研究では、以上の観点から、インドネシアのジャカルタ、バンドン、スマランにおいて、3年間にわたり年1回の繰り返しGPS測定、精密重力測定を実施することで、地盤沈下ならびに重力変化量を実測し、その結果をInSARデータ、現地での地下水変動データ、地質データと対比することで、3都市での地盤沈下メカニズムを明らかにすることを目指している。このため、本年度は、観測の初年度として、まず、InSARデータ解析により、これらの都市での地盤沈下分布を調べ、それをもとに2008年7月から9月にかけて、現地での重力およびGPS測定を実施した。重力測定では、野外用の絶対重力計を使用したが、このような測定は前例がなく、幾つかの測定上の問題点も明らかになり、次年度以降の観測のためにノウハウを蓄積することができた。これらの結果について、GPSについては従来からのデータとあわせた解析を行い、研究論文としてまとめた。また、測定全般については、国内および国外での学会発表を行った。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Proceedings of 36th IAH Congress, October, 2008 Toyama, Japan Integrating Groundwater Science and Human Well-being