研究課題
急速な発展を遂げつつある東南アジア諸国では、人口集中や都市開発などによる過剰な地下水揚水が、地盤沈下や地下水の塩水化などの深刻な問題を引き起こしている。最新の測地観測手法を統合し、地下水変動や地盤沈下などをモニターすることは、これらを一連の地球科学的現象として理解することにもつながる。このような観点から、本研究では、インドネシアのジャカルタ、バンドン、スマランにおいて、GPS測定、精密重力測定を実施し、地盤沈下ならびに重力変化量を実測すると共に、InSARデータ、地下水変動データ、地質データと対比することで、3都市での地盤沈下メカニズムを明らかにすることを目指している。本年度は、昨年度に引き続き、7月から8月にかけて、現地での重力およびGPS測定を実施し、昨年の結果と比較することで変動量を求めた。また、本研究で使用している野外用の絶対重力計の特性を把握するとともに、測定上のノウハウを蓄積するために、国内での比較観測や実証テストなども随時実施した。絶対重力測定については、初年度、機器のトラブルでインドネシアでは十分なデータが得られていなかったが、機器の調整・整備や測定上のノウハウの蓄積もあり、今年度は信頼性の向上したデータを得ることに成功した。また、GPSについては引き続き良好なデータが得られており、ジャカルタ、バンドン、スマランのいずれの都市でも地盤沈下が進行していることが確認できた。これらの成果については、国内および国外での学会で研究発表を行うとともに、論文等で成果を公表した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
IAH selected papers 16, Groundwater Response to Changing Climate eds. M Taniguchi and JP Holman CRC Press
ページ: 113-130
月刊地球 32
ページ: 264-270