研究課題
急速な発展を遂げつつある東南アジア諸国では、人口集中や都市開発などによる過剰な地下水揚水が、地盤沈下や地下水の塩水化などの深刻な問題を引き起こしている。最新の測地観測手法を統合し、地下水変動や地盤沈下などをモニターすることは、これらを一連の地球科学的現象として理解することにもつながる。以上の観点から、本研究では、インドネシアのジャカルタ、バンドン、スマランを対象とし、GPS、InSARの宇宙測地技術と絶対重力計および相対重力計による精密重力測定を統合することで、地盤沈下のメカニズム解明を行うとともに、精密測地観測手法開発やその有効性を検証することを目的とした。本年度は、現地での重力およびGPS測定を実施し、これまでの測定結果やInSAR解析の結果と比較することで変動域の分布や、その変動特性等を調べた。また、野外用の絶対重力計の特性を把握するとともに、測定上のノウハウを蓄積するために、国内での比較観測や実証テストなども随時実施した。これらの結果のうち、GPSについては引き続き良好なデータが得られており、ジャカルタ、バンドン、スマランのいずれの都市でも地盤沈下が進行していることが確認できた。また、ジャカルタでの重力とGPSのデータの定量的な比較から、海岸線に近い地域での地盤沈下が地下水の減少によることを示唆する結果を得た。さらに、バンドンの結果については、重力とGPSのデータについて、定性的な変動パターンについては比較的よく整合するものの、変動量については必ずしも整合しておらず、その原因としては、局所的な陸水変動の影響、また、GPS点と重力点のわずかな位置のズレ等の影響を考慮する必要のあることが推測された。これらの成果については、国内および国外での学会で研究発表を行うとともに、論文等に公表した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
in Proc.The 10th SEGJ Inter Sympo, Nov., 20-23, Kyoto, Japan
ページ: 1-4
Natural Hazards
巻: 59 ページ: 1753-1771
in "Groundwater and Subsurface Environment"(ed. T.Makoto)(Springer)
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