研究課題/領域番号 |
20403009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (70377779)
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研究分担者 |
水野 亮 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
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キーワード | オゾン / オゾンホール / 成層圏 / 大気微量分子 / 中層大気 / ミリ波 |
研究概要 |
本研究は、南半球春期に南極オゾンホール内のオゾン破壊分子を含む低オゾン濃度空気塊が中緯度地帯まで到来することによって中緯度地帯のオゾン層に与える影響を評価し、そのメカニズムに関するこれまでの知見を観測的に検証し、また新たな知見を得ることを目的に、地上ミリ波分光計を南米最南端近くのアルゼンチン共和国リオ・ガジェゴスに設置してオゾン等の高度分布の連続観測を行い、得られたオゾン等の高度別時間変動データと化学輸送モデル等との比較から、オゾンホールの中緯度地帯への影響を評価することを行う。本年度はリオ・ガジェゴスへ移設したミリ波分光計によるオゾン高度分布観測を継続して行った。また、アルゼンチン側のQuel所長グループと共同して同施設内のオゾンライダーとの相互検証実験を定期的に行った。現地におけるミリ波データの暫定的な高度分布解析は順調に進み、相互検証実験などを行う現地研究者へタイムリーな情報提供ができた。しかし、その時々の気象場データ等を利用した、名古屋での詳細なデータ解析に関しては、現地のネットワーク通信事情の問題のため、観測データをネットワークで日本に転送する体制が十分には確立できず、そのために全データを転送することができず、断片的に解析を行うにとどまった。データ転送に関しては、現地技術者の協力を得て週1回データを転送できるよう、必要なコマンドスクリプトなどの準備を進めていく。また現地での209GHz帯での大気透過度が予想よりも悪く、データ質及び観測効率が当初の予想よりも低いことが明らかとなった。連続して短い時間分解能で高度分布を計測することが本研究の重要な柱であることから、今後、多少の悪天候でも継続してオゾン高度分布データが取得できるよう、観測周波数の110GHz帯へ変更を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでアルゼンチンにおけるミリ波観測は順調に行われており、現地研究者の持つライダー等の測器との相互検証実験も定期的に行うことができ、データの信頼性も確認できている。しかし、観測データの解析において、ネットワーク回線速度の問題から現地から名古屋へのデータ搬送頻度が低く、イベント時以外でのモデル等との詳細な比較が行えていないことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
アルゼンチンからのデータ転送の問題については、現地技術者と協力して毎週1回転送できるように転送スクリプトの作成、マニュアルの改訂を予定しており、次の南半球冬期までには問題が解消される予定である。また、観測効率を高め、成果を最大化するために観測周波数の110GHz帯への変更が技術的・時間的に可能かを検討していく。
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