研究課題/領域番号 |
20403011
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
中村 卓司 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (40217857)
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研究分担者 |
山本 衛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20210560)
江尻 省 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (80391077)
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キーワード | ライダー / 中間圏下部熱圏 / 可搬型 / 共鳴散乱 / 電波観測 |
研究概要 |
本研究では、下層との相互作用を考える上で重要な超高層大気下部の大気不安定領域の経度変化という概念で、日米で行なってきた地上からの光電波協同観測を発展させたネットワークを構築し衛星観測も動員して、下部熱圏の力学的経度非一様性の実態を観測的に明らかにすることを目的とする。本年度も下記のように順調に進展した。 1)米国コロラドと日本での光電波協同観測 米国コロラドと日本でのライダーとの同時観測データを中心に協同観測データの解析を行った。海外共同研究者のJoe She教授が3カ月間日本に滞在し、その間に海外共同研究者のJia Yueとも協同して研究のとりまとめを行った。日米のリップル統計比較時に明らかになったライダーによる大気安定度との一対一対応の弱さはライダーデータ解析上の高度勾配導出の固有の問題と明らかできた。 2)拡大ネットワーク観測と衛星協同観測 大型の多波長全天大気光イメージャをドイツの大気物理研究所のKuelungsbornに設置してデータの少ない欧州域の多波長全天イメージャ観測を開始した。また、その後北欧のALOMARにもイメージャを展開した。この間、ドイツのレイリー・ラマン・共鳴散乱ライダー観測と貴重な同時観測データを取得した。ドイツでの観測からはMLT重力波の構造を多面的観測から明らかにした。 3)蓄積データの解析とデータベース化 これまでに取得蓄積したデータを総合的に解析した。とくに、Rippleの統計についての解析方法のバイアスや最適な比較方法を十分議論した。また、日米の比較ではMLT領域の大きな差異も見られたが、緯度5度程度の違いの影響も大きいことが示され、今後MLTを緯度経度だけでなくマップとして捉えるような思想の切り替えが必要であることが示された。 以上のように本課題は多くの理学的知見を得たと同時に、米・独との研究者ネットワークも築くことができ、期待以上の発展を遂げた。
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