研究概要 |
本研究では,これまでの研究をさらに進め,"モンゴル-オホーツク海"の実体と,その形成-閉鎖史の解明を目指す.本目的に資するため,平成21年度は8月~9月にかけて延べ40日間,モンゴルでの現地調査を実施し,その後日本国内で採取試料の解析を行った.その結果,ウランバートル周辺に広く分布する石炭系整然層の層序について,従来オリゴッチ層の下位層と考えられていたアルタンオボー層が,実はオリゴッチ層の上位層であることが明らかとなった.また詳細な層序解析と岩石の薄片観察を行ったところ,オリゴッチ層堆積時に後背地で起こっていた珪長質火山活動が,アルタンオボー層堆積時には終息し,後背地の環境に大きな変化があったことが判明した.このことはアルタンオボー層堆積時に大陸前縁での海洋プレートの沈み込みが止まった(終了した?)可能性を示唆し,"モンゴル-オホーツク海"の閉鎖史を考える上で非常に興味深い. また,ウランバートル周辺に分布する付加体の構造解析を行ったところ,従来別の地質体と考えられていたウランバートル・ハラホリン両テレーンは一連のものであり,後者は前者の西方延長の地質体であることが明らかとなった.このことはモンゴル中央部に分布する付加体が従来考えられていたものより遙かに大きいことを意味し,"モンゴル-オホーツク海"の規模を推定する上で非常に重要なデータである.また,この付加体中の玄武岩の化学組成を分析したところ,ポリネシア型OIBであることが判明した.
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