研究課題/領域番号 |
20404003
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
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研究分担者 |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90178145)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
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キーワード | 鉄バクテリア / 砒素 / 地下水 / ベトナム / 浄化実験 |
研究概要 |
我々は平成21年11月以来、鉄・砒素・マンガン・アンモニア同時除去の鉄バクテリア法(以下、鉄バク法)のパイロット試験をベトナム・ハノイのThuong Tin DistrictのTu Nhien幼稚園において実施してきた。本年は、ろ材として3-5mm Φのれんが製のろ材を用いた第1期試験(昨年度から引き続き実施、通算11か月)、に続きろ材として1-3mm Φのれんが製のろ材を用いた第2期試験(通算1カ月)を行った。ろ材高はいずれも0.8m程度とした。第1期試験、第2期試験共に、期間中、LVは100m/day程度から600m/day程度まで変化させている。第1期試験開始後4カ月程度で、地下水位の低下が起こったため、1時間通水し3時間通水停止するという間歇通水モードに切り替え、以降その条件で通水してきた。 これまで我々が行ってきた日本においては原水中で亜砒酸が全砒素に占める割合は50%程度であるが、ベトナムのサイトでは原水中の全砒素の90%が亜砒酸である。また、原水中のFe/Asの質量濃度比は、ベトナムでは150超で、日本においては試験場所や試験時期によって20から200程度の範囲にあった。 総じて、ベトナムでの砒素除去は日本における同種のパイロット比べて同等以上で、かつ安定で(第1期試験で81±8%、第2期試験で79±8%)、原水のFe/As比の高いことが影響していると考えた。砒酸に比べ相対的に除去し難いと亜砒酸が多い条件であっても鉄バク法の除去性能は低下しないことが証明できた。流速を600m/dayと高くなると第1期試験ではやや砒素除去率が低下したが、第2期試験ではより低い流速時よりほぼ同じ除去率を維持できた。また、間歇通水に切り替え前後で砒素除去率の変動はなかった。幼稚園の夏休みなどに合わせて20日程度の運転休止や、不時の停電による半日から1日程度の運転停止があったが、これらも砒素除去に大きな影響はなかったとみられる。 本研究により、鉄バク法砒素除去はベトナムの環境及び社会条件下で十分に機能しうることを証明できたと考える。
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