研究概要 |
1.薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):平成21年11月16日から23日,研究代表者・石橋は,バングラデシュ国を訪問し,クルナ(Khulna)大学薬学部S.K.Sadhu教授の指導のもと,Sadhu教授および現地の薬用植物の専門家の協力を得て,バングラデシュ・チッタゴン地区およびコックスバザール地区を中心に,熱帯薬用植物資源調査を行った.とくにこれまでに未採取・未利用の植物種を中心に陸棲の草木類を中心に幅広く調査・採取を行った.採取した薬用植物等は約40種に上ったが,一つの種当たり採取量は予備的スクリーニングに最低限必要な量にとどめた. 2.ライブラリー構築とスクリーニング:上記の調査によって採取した植物サンプルについて,有機溶媒による抽出を行い,抽出エキスライブラリーを構築した.得られた抽出エキスを用いて,i)腫瘍細胞(AGS胃癌細胞他)に対する細胞毒性試験,ii)癌関連シグナル伝達経路(Wnt,ヘッジホッグ,トレイルシグナル伝達経路等)に対する活性試験等のスクリーニング試験を行った. 3.活性成分探索:キョウチクトウ科植物Vallaris solanaceaeから新規カルデノリド配糖体vallarisosideおよび一種の新規配糖体を単離しそれらの化学構造を決定した.このうちvallarisosideは10μMの濃度でトレイル耐性AGS細胞に対して単独処理時と比較してトレイル併用処理時に細胞生存率を37%低下させることが判明し,顕著なトレイル耐性克服作用を示すことが明らかとなった.
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