研究概要 |
1.薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):平成22年11月28日から12月4日,研究代表者・石橋は,バングラデシュ国を訪問し,ジャガンナス(Jagannath)大学薬学部准教授Firoj Ahmed博士およびクルナ(Khulna)大学薬学部S.K.Sadhu教授の指導のもと,現地の薬用植物の専門家の協力を得て,バングラデシュ西部のラジシャヒ地区を中心に,熱帯薬用植物資源調査を行った.とくにバングラデシュ西部地区特有の植物種や現地で栽培される薬用植物を中心に幅広く調査・採取を行った.採取した薬用植物等は約100種に上ったが,一つの種当たり採取量は予備的スクリーニングに最低限必要な量にとどめた. 2.ライブラリー構築とスクリーニング:上記の調査によって採取した植物サンプルについて,有機溶媒による抽出を行い,抽出エキスライブラリーを構築した.得られた抽出エキスを用いて種々のシグナル伝達経路(ウィント,ヘッジホッグ,トレイルシグナル等)に対する阻害作用等に関するスクリーニング試験を行った. 3.活性成分探索:上記スクリーニングで陽性を示したサンプルのうち,トウダイグサ科Excoecaria agallochaからヘッジホッグシグナル阻害作用をもつ新規フラボノイド配糖体2種を単離した.また,別のトウダイグサ科Excoecaria indicaからはウィントシグナル活性化作用をもつフォルボール型ジテルペン3種を単離した.さらにセンダンセンダン科Amoora cucullataからは,トレイル耐性克服作用に関するスクリーニングにより4種の新規化合物を含む11種の化合物を単離した.
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