黄土高原の浸食および植生の後退に対する対策については、中国側の現状を把握することが重要である。中国水土保持研究所がこれまでに実施してきた、対策の方法およびその効果を把握し、本研究で提案している防護工について、中国側の意見を聴取した。これについては、黄土高原の浸食問題に詳しい中国水土保持研究所の協力により、浸食および植生の後退している場所について、規模・進行速度・現状行われている対策などを把握した。研究対象領域をとして、陝西省延安市安塞地区を研究対象エリアとした。 中国水土保持研究所に出向き、本研究の目的および方法と、中国側の問題点および解決方法の方向性が一致することを確認した。また、中国側の研究協力者に、研究対象地区である安市安塞地区に同行いただき、対象領域の詳細な視察を行った。対象領域について、夏期と冬季の現地調査を実施し、対象領域の季節による変化を把握した。地形の変状を把握するには、対象地域の詳細な地形図が必要であるが、いまのところ対象地域の詳細地形図は存在しない。そこで、冬季の現地調査では、対象地区の検証データとして、調査領域をGPS計測した。計測データは、ALOS計測データから解析される3D地形データに反映され、詳細地形図作成に使用できる。 植生を繁茂させるには、土中の水分特性を把握することが重要である。第1段階として、砂漠化地域の代表的な土壌を採取し、岐阜大学において物性試験を実施した。今後は、防護対象箇所の土壌を分析することにより、対象箇所に最適な植生種別と栽培方法を検討する。
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