黄土高原の浸食および植生の後退に対する対策については、中国側の現状を把握することが重要である。中国水土保持研究所がこれまでに実施してきた、対策の方法およびその効果を把握し、本研究で提案している防護工について、中国側の意見を聴取した。これについては、黄土高原の浸食問題に詳しい中国水土保持研究所の協力により、浸食および植生の後退している場所について、規模・進行速度・現在行われている対策などを把握した。これまでに、研究対象領域として、陜西省延安市安塞地区、烏魯木斉地区などの現地調査を実施した。 中国水土保持研究所に出向き、本研究の目的および方法と、中国側の問題点および解決方法の方向性が一致することを再確認した。上記研究対象地区のGPS情報および陸域観測衛星ALOSの計測データを基に、3D地形データの作成を実施した。また、それらのデータをGISのデータベースデータとして蓄積する手法について検討した。3D地形データの作成手法の検討と検証には、岐阜大学周辺で検証データのある岐阜市を対象として活用した。岐阜県の保有する2mメッシュのDEMと比較した結果、ALOSデータを用いて作成したDSMは、現地の地形をよく再現できることがわかった。広域な中国の高原のGISデータとしての3D地形の作成手法として、十分な精度を有することが確認できた。効率的かつ視覚的に対策すべき砂漠化地域を網羅するのに適切に利用できる手法が開発された。
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