研究概要 |
堆積盆地構造の地盤特性と振動特性とを把握する目的でメキシコシティー盆地縁部において物理探査,土のサンプリングおよび原位置試験を行った。現地との打合せの結果,H20に実施する予定であった盆地中央部の調査とH21で実施する予定であった盆地縁部の調査を入れ替えた。物理探査は,表面波探査と微動アレイ探査を行い,調査地点の地層構成と基盤層の傾斜を確認した。基盤深度の違いによって振動特性に大きな違いのあることも認められた。また,堆積土の工学的特性を解明するために,サンプリング,静的コーン貫入試験および原位置ベーンせん断試験を行った。サンプリング試料に対しては物理試験,室内ベーンせん断試験,一面せん断試験および圧密試験を行った。さらに,メキシコシティー粘土の堆積環境を明らかにするため,年代測定,珪藻分析,X線回折試験,塩化物含有量試験や強熱減量試験などを行った。本実験からも土の間隙比が6を越す試料が認められた。室内試験から得られた知見を以下に述べる。1)メキシコシティー粘土の主要鉱物はガラス質の非結晶物質であり,粘土鉱物はほとんど存在せず,有機物によって上の粘性が発揮されている。2)メキシコシティー粘土は,珪藻分析から水の流れが非常に緩やかな環境で堆積したことが明らかとかっか。3)メキシコシティー粘土は,過圧密履歴を受けた粘土とは異なり,二次圧密やセメンテーションによる年代効果で過圧密を示す擬似過圧密粘土である。 現地調査の結果,メキシコシティー盆地における土地造成は,盆地内の地下水位を下げることによってなされてきていることから,現在も地盤沈下が継続して生じている。このことから,地盤調査結果の解釈には時系列による評価が重要である。
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