研究分担者 |
川瀬 博 京都大学防災研究所, 社会防災研究部門, 教授 (30311856)
澁谷 啓 神戸大学, 工学部, 教授 (00206153)
大坪 政美 九州大学, 農学研究科, 教授 (80112316)
亀井 健史 宮崎大学, 工学部, 教授 (30177597)
野津 厚 独立行政法人港湾空港技術研究所, 地盤構造部, チームリーダー (60371770)
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研究概要 |
H22の作業は追加試験を行うため,メキシコシティー盆地中央部においてメキシコ式サンプリング方法によって試料採取を行った.サンプリングした試料は,残留有効応力測定試験,一軸圧縮試験,一面せん断試験,三軸試験および圧密試験を行った.また,メキシコシティー粘土の間隙比は10以上あっても安定的に存在していることを明らかにするため,沈降実験において微生物を使い炭酸カルシウムを生成させることによって粘性土を固化させる状況を観察した.振動調査は,高知市において常時微動測定を行い,メキシコシティーで得られた基盤深さと固有周期との関係との比較および検討を行った. 我が国のサンプリング方法から得られた力学的特性とメキシコで用いられているサンプリング方法から得られたそれとの比較では,ほぼ同等な結果が得られたことから,両国で実施されているサンプリング方法による違いが力学特性に与える影響については考慮する必要のないことがわかった.沈降試験結果から,微生物と栄養塩を粘性土に添加することによって,土粒子間に炭酸カルシウムが生成されていることが確認できた.しかしながら,この炭酸カルシウムは,土粒子と土粒子とを結びつけるまでには至らなかった.なお,この時の土の間隙比は6以上あり,微生物の触媒作用を速やかに行わせることによって,間隙比10以上の地盤を再現できることを示唆する結果を得た.メキシコシティー盆地中央部において実施した常時微動測定および微動アレイ探査の結果を取りまとめた.メキシコシティー盆地中央部では,深度70m程度までS波速度は150m/s以下であり,日本の典型的な沖積平野と比較してはるかに低速度であることがわかった.また,メキシコシティー盆地中央部では,H/Vスペクトルのピーク周波数0.25~1Hzであり,このピークは深度200m以浅の地盤構造に対応していることがわかった.高知市仁井田地区で実施した常時微動測定結果から,地盤のせん断波速度とH/Vから得られた卓越周期との関係は,概ね1:1に調和していることがわかった.また,基盤深さとH/Vとの関係も概ね調和的であることを示した.
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