研究課題
本研究は、わが国と体制・制度・自然条件の異なる中国の都市において、制度的有利性に依拠した形での、新たな都市開発の方向性を模索し、その成果をわが国をはじめとする世界各国の都市開発の現場へと還元しようとするものである。よって、中国の都市を対象としたクリマアトラスワークショップを実施し、都市の熱環境の悪化防止、あるいは改善を実現するような都市計画、さらには都市開発が具体の都市において実現することをめざす。華中科技大学と共同で、武漢の長江両岸地区(武昌と漢口)において再開発が想定される地域を対象に、夏季と冬季の集中気象観測、ならびに街区スケールの気流等に関する数値計算を行った。観測からは、河道上の風速が強まるのと連動し、直交する街路上の風速が強まり、同期して気温の変動が生じていることが示された。また、河道に空気が引き込まれるケースと河道から空気が吐き出されるケースが存在していることも明らかになった。さらに、数値計算や野外観測の結果にもとづき、まちづくりワークショップを開催し、「ヒートアイランド緩和策」を盛り込んだ市街地の整備プランなどの提案を行った。とりわけ屋上緑化、保水性舗装、水辺創出、ドライミストなどの事業は暑熱緩和以外の多側面の効果を持つ。日本の丸の内においてこれらの多側面の効果の重要性を社会調査によって評価した。当該地域のユーザーは屋上緑化と水辺創出に対して大きな付加価値を見いだす一方で鳥類の増加には価値を見いだしていないこと、また、事業主体によって重点と考える項目も異なることが明らかになった。この調査は、ステイクホルダー同士の共同作業が熱環境緩和事業にとって重要なプロセスであることを裏付けた。
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ICCS Journal of Modern Chinese Studies
巻: 2 ページ: 240-247
天地人
巻: 11 ページ: 6-7