本研究は、中華人民共和国(以下中国と略す)上海市及び杭州市の大学と連携し、急速な都市開発によるひずみを抱えた中国の長江デルタ地域において、社区を基盤とした「コミュニティ」参加型の地域改善の方法を明らかにすることを目的とする。平成20年度は、以下のことを研究活動として行った (1)研究体制づくり 中国の研究者との共同研究体制を構築した。共同研究体制の中で、特に上海においてコミュニティ志向型の地域改善の方法を明らかにするための研究対象地域を設定した。 (2)共同研究によるコミュニティ調査 協働によりコミュニティへの調査項目を作成した後、共同研究を行う上海同済大学によって、コミュニティの聞き取り調査が広範に行われた。その上で、特に研究対象地域において、居住者の意識を規定する項目について現地調査を行い、コミュニティの聞き取り調査の分析をより詳細に行うための分析項目を構築し、各項目による分析を行った。 (3)基礎資料の収集 ・文献調査 現地協力者の協力を得て、基礎文献調査を行った。関連する資料についての翻訳を行い、対象地域におけるコミュニティ調査の情報を整理した。 ・事例調査のための基礎資料 現地研究協力者を通して、各市の事例調査のための基礎資料を収集した。これらの基礎資料から、里弄などの対象エリアの実態を分析し、現地調査計画の基礎とした。 これらの研究成果から、中国での持続的な地域改善を支援する手法を構築していくための共同研究を継続する。
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