研究課題/領域番号 |
20404020
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
岩田 三千子 摂南大学, 理工学部, 教授 (70288968)
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研究分担者 |
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20252546)
秋月 有紀 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (00378928)
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キーワード | 色 / サイン / ピクトグラム / ユニバーサルデザイン / 空港 / 公共空間 / 海外 / イメージ |
研究概要 |
平成22年度は、これまでに海外で収集したサインに使用されている色彩のデータを整理分析し、設置主体や施設において共通の仕様にすることで、サインの存在、誘目性、内容の理解、差別化などの効果を図っていることを明らかにした。ユニバーサルデザインの観点から、我が国では直感的に理解しやすいサインデザインとして、トイレのピクトグラムに男女の寒色系と暖色系の色分けが一般的に用いられている。しかし、このような色の組み合わせは、ヨーロッパ諸国においては、性別を意識させない無彩色、中国などでは多色相であるという実情を明らかにした。 また、日本、韓国、中国、タイ、チェコ、イギリスの6カ国で実施したサインに関連することばによる色彩イメージの評価実験について、国別にデータをまとめて比較検討を行った。vividトーンはいずれの国も回答頻度が高く、日本、韓国、中国、タイ、チェコの5カ国で共通する色彩イメージとして12色相中7色相、17語が抽出された。イギリスのデータは回収が遅れたために現在も分析を継続中である。 我が国では、10数年前までは男・女の色による差別化を嫌う動きが一部にあったが、海外ではそのような意識も未だ根強く、ユニバーサルデザインの観点からサインの直感的な理解や見分けやすさを重視し、トイレの人型のピクトグラムの色分けを普遍的な色彩イメージと結び付けて実践している日本の実情との違いが裏付けられた。 一方、「乗る・降りる」「押す・引く」「大きい・小さい」「許可・禁止」「入る・出る」など、色彩イメージが結びつきにくいもの、「消える・点く」のように国ごとにイメージする色彩が異なるものについても本研究結果より明らかになり、色彩イメージを付加したサインデザインについて、海外の多くの協力者とともに十分な成果を得ることができた。今後、さらにデータを詳細に分析し、学会等への公表と社会啓発活動とに務めるつもりである。
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