研究概要 |
本研究課題では、モンゴルにおける現地調査によって、黄砂現象の全体像と、それに対する気象条件の変動や砂漠化の関与、および現象の多発原因を定量的に解明することを目的としている。この目的に沿って、いくつかの研究を行ってきたが、以下にその内容について箇条書きする。 1)モンゴル南部における植生、土壌調査、およびCs-137測定用土壌資料の採取 砂塵発生に対する植生減少や土壌劣化の関与を明らかにするために、今年度は、とくに植生の減少が著しいモンゴル国南部のゴビステップであるTagaanDukh(TGD),Tagani OvoniTal(TOT)、及びコビであるShar DovongiynTa1(SDT)の植生および土壌調査を行った。TGDではSalsolap asserinaが、TOTではStipagobica, Cleistogenessquarrasaが、SDTでは、Artemisia xerophytica, Bassia dasyphyllaが優占していた。土壌は、ゴビステップでは、炭酸カルシウムの集積層であるカルシック層がみられ、Cambisolに分類された。ゴビでは、土壌の発達程度がきわめて弱く、Regosolに分類された。Cs-137については現在、測定中です。 2)中国大連における黄砂降下量の測定 中国大連市経済開発区にある大連民族学院の屋上に黄砂採取用のサンプラーを設置した。来年度の5月に黄砂飼料を回収して日本へ持ち帰り、分析に供する予定である。
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