研究課題
嶋田・伊藤(連携研究者)・加藤(伊藤研・特任研究員)は、メキシコのマメ科Acacia属のマメにつくハムシ科マメゾウムシ亜科Mimosestes属14種の分子系統樹から、進化の方向性を決めるための祖先形質復元の統計解析を行った。その結果、Mimosestes属のうちM.amicusなど4種で狭食性から広食性への進化を確認し、Mol.Phylogenet.Evol.(2010)に掲載された。これは従来からのEhrlich and Raven(1964)の主張した狭食化が進む学説を見直す貴重な報告となった。藤井Lathurus属、Vicia属、Mucuna属およびPisum属の種子中に含まれる有毒成分の分析を行った結果、カナバニン、ベータシアノアラニン、L-ドーパおよびシアナミド等の非タンパク性アミノ酸が検出された。マメ科被覆植物として有望なクラウンベッチ(Coronilla)などのアレロパシー活性を検定し、種子に含まれる有毒成分の分析を開始した。徳永は貯穀害虫マメゾウムシとして広食性を示すアカイロマメゾウムシでのWolbachiaの感染パターンについて、4地域系統を調査した。その結果Wolbachiaの感染に系統間で変異があるだけでなく、系統間同士の掛け合わせの際に、不完全細胞質不和合性にも変異があることを明らかにした。津田は、マメ科3亜科のうち、マメ亜科のみはカナバニンなど毒性物質が多様である。マメゾウムシによるマメ亜科の利用において、細胞内共生菌ボルバキアの感染が寄与する可能性を検証した。旧世界産の15属98種についてWolbachia感染をPCR診断したところ、53%の属、14%の種において感染が発見できた。感染頻度は、地域(アジア、アフリカ、欧州、新世界)、気候(冷温帯、亜熱帯・熱帯)、系統群による偏りはなかったが、宿主となる植物でマメ亜科(19%)の方がネムノキ亜科・ジャケツイバラ亜科(11%)より感染頻度が高く、感染が寄主シフトを促進する可能性を示唆した。
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