生物間相互作用は、生物多様性の創出・維持に重要な役割を果たしており、陸上でもっとも生物多様性の高い熱帯雨林で温帯より強い依存関係や特殊化が見られるのは、その傍証であると考えられる。しかし、熱帯林群集の種間関係の構造にどのような特徴が見られるのか、また、その構造の生成要因については、十分なデータがなくほとんどわかっていない。 本研究は、ボルネオ低地熱帯雨林における植物-送粉者ネットワークを明らかにし、その生成要因について検討することを目的としている。具体的には、 (1)すでにあるデータをもとに、世界の様々な生態系における植物-送粉者ネットワークのデータを整理し、植物と送粉者でパートナーの幅の分布パターンを明らかにし、そのメカニズムを考察する。さらに、地理的にネットワークの変異も考察することで熱帯の特徴を明らかにする。 (2)ボルネオ低地フタバガキ林でこれまでに採集された標本の同定、データベース化を行う。 (3)ランビル国立公園における林冠観測システムを利用して、さらに送粉昆虫の採集をすすめ、系統の情報と合わせて進化的な分析を行う。
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