本研究では、熱帯林の送粉者と植物の関係が、どのように特徴づけられるのか、それがどのように進化してきたのかという問いに、特定のグループを対象とした送粉様式の進化の研究と、植物―送粉群集全体のネットワーク構造の解析という2つのアプローチで取り組んだ。特定のグループを対象とした研究から、送粉様式は頻繁に変化してきたこと、しかし変化の道筋は限られており同じ送粉様式が何度も進化したことが確かめられた。群集全体のネットワークの解析では、送粉サービスの需要―供給バランスがネットワーク構造に影響を与えていること、熱帯では送粉者は不足状態にあることが示唆された。
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