研究課題/領域番号 |
20405012
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
熊澤 慶伯 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (60221941)
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研究分担者 |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (90433086)
岩田 明久 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20303878)
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キーワード | 淡水魚類 / タイワンドジョウ / インド亜大陸 / 分子生物地理 / 古環境変動 |
研究概要 |
本研究は、東南・南アジアに分布するいくつかの淡水魚類をフィールドワークにより採集し、その起源と多様化の過程を、最新の形態的・分子的手法を用いて解明することを目的としている。本年度は、8-9月にミャンマー中央部と北部、5-8月にタイ中央部、11月にカンボジア西部を採集調査地として選び、淡水魚類の採集を行なった。その結果、ナギナタナマズ科、コイ科、ナマズ科、ギギ科、ヒレナマズ科、ヘテロプネーテス科、ダツ科、メダカ科、タイワンドジョウ科、アナバス科、ナンダス科、プリストレピス科などから、およそ300個体の採集を行ない、種名の同定を行なった。その一部は日本に持ち帰り、一部はタイ国の共同研究者のもとで研究標本として整理した。また東南アジア各地の研究協力者からタイワンドジョウ科を始めとする淡水魚類の標本を提供してもらい、これらも研究標本に加えた。以上の標本を用いて分類学的な再検討を行なうとともに、 DNAデータの採取を開始した。一方、シクリッド科、ナギナタナマズ科を用いて、ミトコンドリアゲノム全塩基配列の系統解析を行ない、その生物地理を論じた論文をまとめた。シクリッド科はゴンドワナ大陸の分裂に伴う分断により各大陸ごとの系統に分かれたことが強く示唆された。逆にこれを分岐年代推定の制約として用いれば、硬骨魚類の分岐年代の推定誤差が有意に小さくなるとの結果が得られた。ナギナタナマズ科のアジアとアフリカのクレード間の分岐年代は、後期ジュラ紀-前期白亜紀と推定された。アジア産のナギナタナマズ類はゴンドワナ大陸に起源し、インド亜大陸に乗ってユーラシアに分散した可能性もあるとの仮説を提唱した。
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