研究課題/領域番号 |
20405012
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
熊澤 慶伯 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (60221941)
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研究分担者 |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90433086)
岩田 明久 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (20303878)
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キーワード | 淡水魚類 / タイワンドジョウ / インド亜大陸 / 分子生物地理 / 古環境変動 |
研究概要 |
本研究は、東南・南アジアに分布する淡水魚類をフィールドワークにより採集し、その起源と多様化の過程を、最新の形態的・分子的手法を用いて解明することを目的としている。平成22年度は、ベトナム北部でフィールド採集を行い、タイワンドジョウ科、コイ科、アナバス科、オスフロネムス科を始めとする様々な淡水魚類の採集を行なった。それらは正確な種同定を行った後、形態やDNAの分析に用いる予定である。一方、研究協力者のMr.Sahat RatmuangkhwangとMr.Siwaphong Ekajitが、研究代表者の研究室に約3ヶ月間滞在し、ナマズ類・タイワンドジョウ類・ダツ類を中心に分子系統実験を行なった。その結果、ヘテロプネーテス科のナマズ類Heteropneustes fossilisにおいて、インド南西部ケララ州の集団、その他のインド地域の集団、東南アジアの集団が、それぞれ別種に匹敵する遺伝的距離を持つことが示された。後2者はミャンマーのイラワジ川を境界として分布しているが、イラワジ川上流の個体群は形態的にインド集団に似るものの、遺伝的には東南アジア集団に含まれることが分かった。この結論は、ミトコンドリアDNAのみならず核DNAの塩基配列データによっても支持されることから、交雑などの影響で誤って導かれたものではないと考えられる。Heteropneustes fossilis種群は、インドを起源として、ごく最近になってイラワジ川水系から東南アジアに分布を拡大したものと推定される。今後DNAデータから分岐年代の推定を行い、当該地域の地史と同種群の進化との関係を詳しく調べるつもりである。
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