研究課題
本研究の目的は、カメルーン南部ンドンゴ地域のピグミー系狩猟採集民Bakaの協力を得てまったく農作物に依存しない狩猟採集生活を観察し、アフリカ熱帯多雨林における狩猟採集民のエネルギー適応の特徴を明らかにすることである。計画2年度目は、2009年8月に定住集落から約5キロメートルの日常的にBaka住民が利用する熱帯多雨林において8組の夫婦の協力を得て以下のような観察をおこなった。エネルギー消費量に関して、1.8組の夫婦を対象にした連続14日間(朝6:00から夕18:00)の心拍数モニタリング2.8組の夫婦を対象にした連続14日間(朝6:00から夕18:00)の加速度モニタリング3.6組の夫婦を対象にした1日1人の個体追跡法による消費時間調査エネルギー摂取量に関して、1.8組の夫婦を対象にした連続14日間の全採捕食物の計量調査2.6組の夫婦を対象にした1日1人の個体追跡法による摂取食物計量調査3.対象者全員の起床時体重の連続14日間計測調査現在、資料の整理、解析中であるが、暫定的結論は以下の通りである。男性2人(うち1人は妻とともに途中リタイア)が風邪を引き、通常の活動に従事できなかったが、他は健康に過ごせ、体重も維持できた。食物、とくにエネルギー源食物である野生ヤマノイモは2週間十分に確保された。狩猟圧、採集圧の高いと思われる森でも2週間程度であれば純粋な狩猟採集生活は可能であることが判った。
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バカ・ピグミーのゾウ狩猟.『森棲みの生態誌-アフリカ熱帯林の人類学I-』(木村大治・北西功一編)(京都大学学術出版会)
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熱帯雨林狩猟採集民が農耕民にならなかった理由.『森棲みの生態誌-アフリカ熱帯林の人類学I-』(木村大治・北西功一編)(京都大学学術出版会)
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Nutritional Status, Physical Activity, and Dietary Intake of Pygmy Huntergatherers in Cameroon. In : Human Diversity : design for life(T Louts et al (eds.))(Delft University of Technology)
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