研究課題
(1)シアマンのヘテロクロマチンの主成分を明らかにする実験を行った。シアマンのゲノムから、端部の大規模ヘテロクロマチンに存在する反復配列を確認した。塩基配列を解読した結果、アルファサテライトDNAであることが判明した。アルファサテライトDNAは、霊長類のセントロメアの主成分となっている反復配列であり、171bpの単位が連続している。セントロメアに存在する主成分がシアマンではテロメアのヘテロクロマチンを形成している。(2)テナガザルにおいて従来とは異なるトランスポゾンの特性を発見した。SVA因子とよばれるレトロトランスポゾンは、ヒト上科の共通祖先で生じたと考えられている複合型因子である。3つの領域からなり、右端(SINE)と左端(Alu)は、それぞれが単独のトランスポゾンに由来する。内部(VNTR)は30-50bpの単位が縦列に連なった反復配列である。シロマユテナガザルでも同様の因子が存在するが、これに加えて長大なVNTRが多数存在する。染色体上のセントロメア領域のヘテロクロマチンを形成していると考えられる、すなわち今回の発見は、トランスポゾンが新規のヘテロクロマチンを大量に供給する現象である。(3)ヒトのゲノムの約45%を占めるトランスポゾンのうち,動いているトランスポゾンとして4種類が知られている。SVAはその一つであり,遺伝子に転移して様々な病気を引き起こす例が知られている.ホオジロテナガザルのゲノムにおいて,SVAに関連する配列を発見した.この配列はSVAのSINEの部分がプロスタグランジン還元酵素2様(PTGR2-like)遺伝子の一部に置き換えられた構造をしており,我々はこれをSr-SVAと名付け、現在この配列の発生機序を解析中である。今回発見した配列は、テナガザル4属の染色体を判別する場合に有効であることも明らかになった。また、分子集団遺伝学的に解析するための、シロマユテナガザルの糞収集をバングラデシュでおこなった。
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