平成20年から21年の調査により、米国では除草剤抵抗性GM作物の作付の拡大に伴い、グリホサート抵抗性雑草9種が出現し、面的にも拡大しているため、深刻な事態となっていることを明らかにしてきた。また、グリホサート抵抗性雑草の中には、他の除草剤と複合抵抗性となっている事例もある。さらに、GM作物はわが国での主要飼料として輸入されており、雑草種子の混入による除草剤抵抗性雑草のわが国への侵入も予測される事態である。 今年度は、これまでの調査結果をまとめるとともに、米国での対策のための研究開発状況について、情報収集をすすめた。そのために、2010年7月にオーストラリアで開催された国際農薬化学学会(IPPC)に出席するとともに、2011年2月にアメリカ雑草学会(WSSA)に出席して情報を収集した。その結果、米国では複数の除草剤耐性遺伝子を導入したスタック品種の作出および普及、土壌処理剤などの作用点の異なる除草剤との体系的防除、さらに抵抗性雑草の防除が困難な場合には不耕起栽培から耕起栽培への転換などの対策が講じられ、これまでGM作物導入によるメリットとされてきた事柄がことごとく消失する事態となって来ていることが明らかとなった。 今後は、こうした米国での事態を正確に把握する中で、わが国のあるべき雑草防除対策を明らかにすることとしたい。調査結果の概要は日本雑草学会で報告するとともに、学術雑誌「雑草研究」に投稿した。
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