研究課題/領域番号 |
20405019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鴨下 顕彦 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 准教授 (10323487)
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研究分担者 |
山岸 順子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60191219)
黒倉 寿 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
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キーワード | 環境調和型農林水産 / 熱帯農学 / 農業人間学 / 農業経済学 / 生態学 / 国際研究者交流 / カンボジア・タイ |
研究概要 |
天水農業のヘテロな水環境を解明するために、水環境の対照的な地域(旱魃頻発地域、灌漑可能地域、増水地域)を選定し、水環境の実態(降水量、湛水深の季節変異)を把握した。ポルポト時代の灌漑修復地では、灌漑水路の上流と下流で雨季に大きな湛水深の差異が観測され、下流の末端水田では、ほとんど深水水田の状態であった(10月の最大水深60cm)。一方、乾季には比較的均一な浅水管理がされていたが、収量が低く、雑草管理、低い施肥量と施肥効率、品種の特徴、病害、高温障害など、減収要因が示唆された。増水地域では、環状国道の近くの浅水天水田側から、湖の方向の深水水田へ進む途中で、天水田品種と浮稲が共に選択されている地域があり、増水パターンが想定外であると、この地域での減収が著しく、品種選択の困難さが実証された。天水田では、改良品種と化学肥料の普及について、新品種の普及速度は速く、米価の高さとの関連性が示唆されたが、種子生産が制限要因になり、面積ベースでの普及は2年目で30%程度にとどまっていた。一方、多面的機能の中の景観性評価のために、年齢の異なる学生たち(小学生から大学生)を対象に、農村景観の描画と写真による評価を行い、好ましい描画による景観として、山、家屋、田などが頻繁に現れたが、田は年齢が高い層でより多く現れている半面、都市の河川の汚濁やゴミ、灌漑水路での洗濯、衛生的でない一次産品の加工場、洪水被害など、好ましくないものとして認識されていた。上記のように、農業生態系の水環境と生産にかかわる調査、技術普及にかかわる調査、景観解析に関する調査を重点的に行った。
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