研究概要 |
わが国と米国のダイズ単収の格差が拡大しているが、その要因に関する系統的な調査は行われていない.日米ダイズ産地の間に存在する単位面積当り収量(単収)の差異の要因を,品種,気象および栽培条件の3つの側面から解析し,それらの寄与率を定量的に評価することを目的として、当年度は日米の品種試験のデータ収集、日米品種の収量性比較試験および現地の栽培状況の情報収集を行なった。 1.データ収集とデータベース化 米国のアーカンソー州とイリノイ州を対象にして,過去20年間に行なわれた品種試験のデータを収集した。また、同2州を対象に、ダイズ平均収量の郡別統計データを収集した。中西部にあるイリノイ州の最多収郡では3.8t/haの平均収量が実現していること、中南部にあるアーカンソー州でも灌漑の導入にともなう顕著な増収をみとめた。 2.日米間の収量性比較のための連絡試験 京都大学(高槻市)および酪農学園大学(江別市)において、日米の寒冷地および暖地で広く栽培されてきた品種から,代表的な栽培品種を選定し,生育収量の比較試験を実施した.高槻市では米国産9品種の平均収量が4.9t/haであり、日本産6品種の平均4.2t/haを16%上回った。一方江別市では両者の平均はほぼ同様であった。収穫指数には日米品種間差異がみとめられなかったことから、米国品種の優位性はおもに全乾物生産量が大きいことに起因していた。 3.イリノイ大学、アーカンソー大学、穀物集積企業CGBおよびモンサント社を訪問し、米国におけるダイズ生産と流通の実情、近年の増収の要因となっている栽培技術、増収に向けた現在の研究課題について情報および資料の収集を行なった。
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