研究概要 |
わが国と米国のダイズ単収の格差が拡大しているが、その要因に関する系統的な調査は行われていない.日米ダイズ産地の間に存在する単位面積当り収量(単収)の差異の要因を,品種,気象および栽培条件の3つの側面から解析することを目的として、平成22年度は日米品種の収量性比較試験の結果の解析および現地の栽培状況の情報収集ととりまとめを行なった。 1.アーカンソー州,イリノイ州,北海道および滋賀における年次別気象およびダイズ作付期間の統計資料をエクセルファイルとしてとりまとめた.これらの地域における収量と気象要因(温度、日射)の年次変化を比較解析した.米国における高収量には高い日射量が関係するが,近年の増収には,灌漑,品種改良などの技術要因が寄与していること,一方国内では,北海道では気象条件からみた収量水準は比較的高いが,滋賀県では増収の余地が大きく残されていることが明らかになった. 2.京都大学(高槻市)、酪農学園大学(札幌市)、アーカンソー大学(フェイエットビル市)およびイリノイ大学(アーバナ市)において、代表的な栽培品種の生育収量を比較試験した.米国産品種の収量平均値は日本品種よりも高かったが,収量の日米地域差は明瞭でなく、収量の違いに及ぼす品種の効果が大きいことが明らかになった。 3.イリノイ大学,ミズーリ大学デルタ研究センター,アーカンソー大学イネ研究普及センター,USDA-ARSデルタ地域研究センター,ミシシッピ州立大学デルタ研究・普及センター,ルイジアナ州立大学を訪問し、米国における圃場・作物管理の動向について資料収集を行なった。中西部では改良品種の導入効果が,中南部および南部では灌漑をはじめとする栽培技術による生産の安定化が,それぞれの増収に対して相対的に大きく寄与したことがわかった.
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