研究概要 |
2010年5月にブータン王国南部および西部の農村6か所および都市部の市場1か所等において調査を実施した。本調査の結果,食用野生植物として42科86種の種子植物と3科8種のシダ植物を確認できた。また,これら食用植物とは別に南部のSarpang県Hilley郡のMuga村では14種類の薬用植物が利用されていることも明らかになった。なお,これまで本調査をあわせ6カ年にわたり同国の全20県における現地調査を行ってきた結果,同国において種子植物では合計60科172種が,シダ植物で合計6科18種が、食用利用されていることが明らかになった。 また,本調査の聞き取り調査の結果,これら食用野生植物の中には様々な健康効果が信じられているものがあった。例えば,イラクサ科のBhangrey Sisnoo(Girardinia palmate)については5調査地で食用利用されており,関節痛に効くと信じられていた1調査地を除き,その他の4調査地で高血圧に効果があると信じられていた。また,同じイラクサ科のGharia Sisnoo(Urtica parviflora)についても同様の傾向にあり,食用利用されていた4調査地のうち1か所で関節痛に効くとされ,他の2調査地では高血圧に効果があると信じられていた。一方で禁忌が信じられている植物もあり,例えば,Tamarkeyと呼ばれるツヅラフジ科のStephania glabraは黄疸の出ている患者,肝炎患者に食べさせるのは良くないとされていた.次に現地で食用とされるアスパラガス野生種のAsparagus racemoususの機能性成分測定(ルチン)に向けた最適試料調整方法を明らかにするための試験を昨年に引き続き栽培種A.officinalisで行ったところ,60℃72時間熱風乾燥条件が簡易で最も適した感想調整方法と考えられた。
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