カキ属植物はそのほとんどが熱帯・亜熱帯地域に分布しており、全世界にその分布が認められ、400種以上が存在すると報告されている。この膨大な種数は栽培ガキ(Diospyroskaki)の起源に関する研究を非常に困難にしている。さらに、栽培ガキは六倍体(2n=6x=90)であるが、そのゲノム構成に関しても不明な点が多い。ただ、熱帯・亜熱帯地域に分布する野生のカキ属植物のそのほとんどが二倍体であり、カキの起源地と考えられている中国あるいはその近隣地域である東南アジアの北部地域に分布するカキ属植物の中には栽培ガキの起源に関わった種が必ず存在するはずである。本研究ではカキ起源地であるとされる地域に分布するカキ属植物を探索し、それらの個体を形態的・生態的特性および分子生物学的手法により解析することで、栽培ガキの成立に関与したと考えられる種を特定し、栽培ガキの成立過程を解明することを計画した。
|