研究課題
コナジラミ伝搬性ウイルスについて、激発するインドネシアと日本とを比較しながち有効な総合防除法の確立を目的とし、平成21年度は初年度に引き続き研究を遂行し、以下のような成果が得られた。(1)インドネシアヘ採集に赴き、タバココナジラミ伝搬でジェミニウイルス科ベゴモウイルス属のペッパー黄化葉巻ウイルス(Pepper yellow leaf curl Indonesia virus : PepYLCIDV)と、オンシツコナジラミ伝搬でクロステロウイルス科クリニウイルス属のトマトインフェクシャスイエロースウイルス(Tomato infectious chlorosis virus : TICV)ならびにトマトクロロシスウイルス(Tomato chlorosis virus : ToCV)を採集し、塩基配列を決定した。(2)本年度もインドネシアで圃場試験を行った。これには西部ジャワ・ボゴール市・ボゴール農科大学のグディ・スアスティカ博士と、中部ジャワ・ジョクジャカルタ市・ガジャマダ大学農学部のセディヨ・ハルトノ博士が海外共同研究者として参画している。この中で、2箇所の異なった場所で実験圃場を設け、コナジラミの飛来を防ぐための障壁植物や防虫ネットの高さ、目の細かさなどについて、インドネセア産の資材で防除法を検討した。さらに抵抗性トマト5品種を定植し、抵抗性の差を確認した。(3)インドネシアにおいてPepYLCIDVの弱毒株の選抜を試みた。そこで、弱毒株の塩基配列も決定し、弱毒性を決定しているウイルス遺伝子を推定した。(4)初年度に日本やインドネシアで未報告のToCVを栃木県で発見し、分離した。そこで、栃木県産ToCVについて接種試験を行い、宿主範囲や媒介昆虫を明らかにし、RT-PCRでの検出方法を確立し、論文を投稿した。また、インドネシアではTICVより発生が少ないことを明らかにした。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of General Plant Pathology 76
ページ: 168-171