研究課題
キクイムシ類などの菌類と共生する昆虫について、以下のような調査や実験を行った。連携研究者とも協力して、いくつかの重要な知見を得た。1. 加害様式と立地環境の把握イチジク生産地(広島県)を踏査し、株枯病の発生状況を観察した。また、アイノキクイムシが集中的に穿孔することを確認した。2. 昆虫の捕獲と生態調査対象昆虫をトラップや餌木を用いて捕獲し、同定を行った。キクイムシ類に関しては、欧米産の標本も含めて検討し、初めての分布記録となる種を記載した。各昆虫の羽化時期、寄主植物の利用様式、交配様式などを、個体群〜遺伝子レベルで調べた。3. 菌類の分離と生態調査虫体や生息場所における菌相とその動態を明らかにした。菌類を保持する特殊器官であるマイカンギア(mycangia)から分離できた昆虫種もあった。さらに、分離株の対峙培養を行い、競争力や和合性の検証を試みた。4. 昆虫と菌類の遺伝解析日本列島に3系統のハンノキキクイムシが存在することを明らかにした。共生菌も3系統あるが、その分化パターンはキクイムシのものと一致しないことを発見した。また、菌類から効率的にDNAを抽出する方法を開発し、ゲノム研究への適用を提案した。
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