研究課題
スーダンでポット試験を行い、異なる土壌水分条件下でストライガとソルガムの上位展開葉の光化学系IIの活性、光合成速度、呼吸速度、蒸散速度、気孔抵抗、および気孔開度・密度を調べた。ストライガの上位展開葉の呼吸速度は光合成速度に比べて高く土壌乾燥による低下がほとんどなかったため、土壌が乾燥するほどストライガはソルガムの同化産物への依存を高めると考えられた。また、ソルガムに比べ、ストライガの蒸散速度、気孔抵抗および気孔開度に土壌乾燥の影響が小さいことを見出した。さらにストライガはソルガムよりも効率的な光化学系を有しているにもかかわらず湿潤区のソルガムに比べ光合成活性が顕著に低かったことから、ストライガの光合成活性は炭酸同化系が律速になっていることを明らかにした。これらの事実は、土壌乾燥条件下でもソルガムからストライガへの同化産物の転流が高く維持されることを示唆しており、ストライガによる被害が乾燥した地域でより深刻であることを合理的に説明できる。日本国内では、アカクローバーに寄生して様々な分化段階にあるオロバンキ組織に蓄積するホルモンを定量分析した。その結果、オロバンキの瘤状組織では、発芽種子と比較して、オーキシンは40倍、サイトカイニンは80倍に蓄積量が増加した。根の発生初期ではオーキシン量は瘤状組織よりもさらに増加した一方、サイトカイニン量は減少した。シュート形成段階ではジベレリンが高濃度で蓄積し、花の形成段階ではABAの蓄積が飛躍的に高くなった。各組織で発現している遺伝子を網羅的に解析した結果、植物ホルモンの生合成と代謝に関わるいくつかの遺伝子が見出されたが、ホルモン蓄積量と遺伝子発現の間に明確な関係は認められなかった。オロバンキの形態を制御するホルモンの量が自律的に調節されているのか宿主の生産するホルモンに依存しているのかは、今後に残された興味深い課題である。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 74 ページ: 1662-1667