研究概要 |
北タイのパヤオ県南部Mae garの落葉林(MD1)およびチークを含む落葉林(MMT1,MMT2)の3ヶ所、およびチェンマイ県西部Wat Chanのマツ林(WP1)で現地調査を行った.それぞれの場所で地質層序の記載および、植物珪酸体分析用と放射性炭素年代測定用の試料の採取を行った.MD1地点において地上から深度1mまで記載し8試料採取した.同様に、MMT1地点は深度0.5mで1試料、MMT2地点は深度0.6mで7試料、WP1地点は深度1.1mで18試料、それぞれ記載と採取を行った.採取した炭化木片の^<14>C年代は,落葉林で4465年BP,チークを含む落葉林で2010年BP,マツ林では9030年BPで,最終氷期直後の古い時代から森林火災があったことを示していた.湖沼堆積物の分析から同じ北タイのパヤオ県では同時期に森林火災があったことが確認されており,このことから北タイの広い範囲にわたって火災が発生していたことが伺われた.炭化木片を樹脂包埋して木口切片を作製し,光学顕微鏡で観察したところ,異なる特徴をもつ数種の広葉樹が確認された.道管や木部繊維は炭化してもその特徴を比較的よく残していたが,柔組織は収縮による変形が著しく,樹種同定を行うには光学顕微鏡切片のみでは樹種の特徴を十分に確認できなかった.同定のためには電子顕微鏡像を用いて細胞の微細構造の観察などを組み合わせる必要があることが示唆された
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