研究課題/領域番号 |
20405030
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
松本 陽介 独立行政法人森林総合研究所, 企画部・研究協力科, 科長 (50165916)
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研究分担者 |
米田 令仁 独立行政法人森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 主任研究員 (00435588)
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キーワード | 熱帯林修復 / エマージェント層 / 植栽試験 / 成長予測 / 郷土樹種 / マレーシア |
研究概要 |
本研究は、マレーシア半島部における熱帯林において、マレーシア・プトラ大学(UPM)林学部の研究者と共同で行い、すでに設置している植栽試験地等において植栽試験を実施している。 既設試験地のひとつであるマレーシア・セランゴール州アイルヒュタム森林保護区内の二次林に、林冠に達したマカランガーなどの二次林樹種を伐採して、空いた空間に郷土樹種を植栽した試験区画がある。植栽樹種のうち、フタバガキ科樹種Dipterocarpus baudii (Db)とNeobalanocarpus heimii (Nh)の2種について、植栽2年7ヶ月後の成長速度を比較した。その結果、Dbでは明るい光環境ほど直径の相対成長速度(RGRd)が大きく、Nhでは中間的な光環境で樹高の相対成長速度(RGRh)が高かった。また、Db、Nhともに中間的な光環境で厚い樹冠になったが、Dbは明るい光環境で樹冠が横に広がり、Nhでは光環境によって樹冠が広がらないなど、生育地の光環境が成長や樹冠の形状に影響していることを明らかにした。 また、JICAとペラ州森林局との共同試験事業で1992年から郷土樹種を植栽したチクス植栽試験地(当該事業の終了時点で植栽7年目の樹高データが開示されている)において、ペラ州森林局の許可を得て植栽18年後の樹高を測定した。Nhは植栽後7年で樹高3.4m・18年で12.7m、Shorea leprosulaは植栽後7年で9.7m・18年で24.3m、およびSorea parvifoliaは植栽後7年で9.1m・18年で約24mに成長することを明らかにした。熱帯多雨林のエマージェント層は、通常、高さ40~60mにあるので、今回はエマージェント樹種の樹高成長の初期段階の生データを得たことになる。 なお、本研究は計画通りに進捗しており、郷土樹種による熱帯林修復・再生の基礎的知見収集に貢献できる成果をあげることが可能である。また、研究成果は熱帯生態学会において研究発表を行い、関連研究者等に成果を引き渡した。
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