研究課題/領域番号 |
20405033
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研究機関 | 独立行政法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
浜野 かおる 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 水産領域, 主任研究員 (70425528)
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研究分担者 |
内田 基晴 (独)水産総合研究センター, 生産環境, 主任研究員 (70371961)
高橋 徹 熊本保健科学大学, 教授 (70369122)
矢野 豊 (独)水産総合研究センター, 利用加工, 室長 (70371854)
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キーワード | 環境 / 水産学 / 感染症 / 免疫学 / 解析・評価 |
研究概要 |
タイ中部地域における疫学調査 タイにおける汽水産エビの疾病の現状を把握するために、バンコク近郊のエビ養殖場にて養殖池の維持形態および疾病の状況について聞き取り調査を行った。タイ中部地方ではウシエビ養殖は皆無になってしまっているため、中南米産のバナメイエビを養殖している業者から聞き取り調査を行った。バンコク、サムサコン、サムプラカン、チャチェンサオ、パトンタニ県にある養殖場14か所にて行った。集約的養殖場6か所、半集約的養殖場が8か所であった。調査を行ったすべての半集約的養殖場は、種苗を入れるが投餌を行わない形態であった。集約半集約に関わらず疾病の経験は在るところが多く、集約的養殖場3件のみ疾病の経験がないという返答だった。疾病の時期は暑気(4月5月)が3件、雨季(10月11月)が5件、時期は不定期が3件と、環境の変動の大きい時期に疾病を受けやすいという結果となった。 養殖池底泥細菌相調査 エビ養殖池底泥試料の強熱減量(乾燥土壌1gあたりの有機物含量)は、集約養殖池および粗放養殖池で大きな差がなく、8.5%前後の値を示した。熱帯では有機物の分解が早いため、給餌を行わない粗放池と給餌している集約池で有機物量において大きな相違がないことを示している。底泥試料中の生菌数は、集約養殖池が多く、粗放池ではその5分の1程度であった。給餌量に応じて生菌数は変化すると考えられる。土壌微生物群集の炭素源利用能の特性を利用したBIOLOGによる測定では、粗放池では細菌の多様性が高かったが、集約池では利用しやすい炭素源のみを利用する細菌が多く、難分解性の炭素源を分解する菌は乏しいという結果となった。 エビに付着する病原微生物量と環境との関係 集約池と半集約池の間に薬剤非感受性菌の出現率について明確な差は見られなかったが、高度耐性菌の出現率が前者で高い可能性が示唆された。併せて行った聞き取り調査の結果から、非感受性菌の出現率には養殖池の使用年数が関連していることが示唆された。
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