研究課題/領域番号 |
20405035
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青柳 斉 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30184055)
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研究分担者 |
朴 紅 北海道大学, 農学研究科, 准教授 (80312396)
兪 炳強 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (80310069)
伊藤 亮司 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70334654)
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キーワード | 米消費 / インディカ米 / ジャポニカ米 |
研究概要 |
計画2年目は、主に初年度の大都市消費地域における米消費構造の分析を継続し、また、米主産地におけるマーケティング戦略と産地開発戦略の実態を分析した。 最初に、米主食圏である長江以南の大都市の米消費構造について、都市住民(長沙、南昌、南京、福州)に対するアンケート調査から実態把握を試みた。その結果、まず、所得上昇に伴う食料消費の多様化により、10年前ないし5年前に比べて明らかに米消費の減少傾向が見られる。その傾向の中で、インディカ米産地の長沙、福州、南昌においてもジャポニカ米消費がすでに一定程度、普及していることが分かった。インディカ米産地におけるジャポニカ米消費の拡大は、かつてインディカ米主産地であった江蘇省の省都・南京のアンケートからも確認できる。そのさい、ジャポニカ米志向は、インディカ米産地の消費者における粘り嗜好の強まりと関係しており、長沙及び福州で回答者の6割前後、南昌でも約4割を占めた。このような粘り嗜好やジャポニカ米嗜好の多さから、インディカ米主産地の長江以南において、東北米の市場拡大の可能性が潜在的に大きいという確証が得られた。 他方、ジャポニカ米の高級ブランド米産地の黒竜江省五常市で、米の産地マーケティング戦略の動向について実態調査を行った。そこでは、南方のインディカ米消費者を意識した「香り」重視の新品種開発や、現地の精米加工企業における営業・販売圏の全国的拡大の動きが捉えられた。また、江蘇省常熟市の現地調査から、かつてのインディカ米生産から80年代末以降、ジャポニカ米生産の拡大に転換してきたことが分かった。これらの調査結果は、上述の長江以南の大都市住民における東北米消費の普及・拡大傾向と符合している。以上の新知見について、当年度の研究成果として学会発表で明らかにすることができた。
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