研究課題/領域番号 |
20405035
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青柳 斉 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30184055)
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研究分担者 |
朴 紅 北海道大学, 農学研究科, 准教授 (80312396)
兪 炳強 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (80310069)
伊藤 亮司 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70334654)
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キーワード | ジャポニカ米消費 / 規模階層変動 / 産地マーケティング |
研究概要 |
計画3年目は、消費者アンケート調査に基づく中国大都市の米消費構造についての分析を継続するとともに、主にジャポニカ米産地の黒竜江省及び江蘇省おける代表的産地の農村事例実態調査から、米の生産構造・規模階層変動や産地マーケティングの展開形態について検討した。 まず、成都、貴陽、広州、雲南の住民アンケート調査によって、インディカ米消費圏の大都市において、粘度志向の多さとジャポニカ米消費の浸透が確認できた。これまで3年間の各大都市におけるアンケート調査によって、華北・西部地域の小麦主食圏及び長江以南のインディカ米主食圏においても東北産のジャポニカ米消費が増大していることが、食糧消費面において初めて実証された。 他方、黒竜江省鶏西市の朝鮮族農村を事例に稲作経営の構造変動について実態調査した。雇用機会が少ない労働市場のもとで朝鮮族農民の韓国等への長期出稼ぎが急増し、その高収入による子弟の高学歴化と挙家離村を増大させた。このことが水田農地の流動化を促進し、漢族農民による稲作経営の規模拡大をもたらした。これに対し、繊維産業の発展によって労働市場条件に恵まれている江蘇省常熟市の場合では、稲作農民の通勤兼業化によって農地流動化が進展し、大規模稲作経営が展開していることが解明された。 また、米の産地マーケティングの展開形態について、黒竜江省五常市の先進事例調査によれば、有機米生産に特化した産地形成とその販路開拓において、農民専業合作社の展開が政策的支援もあって大きな役割を果たしていることが解明された。さらに、業界大手の精米加工業企業B社に対するヒアリング調査によって、国内全土に黒竜江産米の販売網を拡大しているが、スーパーなどへの精米販売では苦戦しており、収益面では糧食企業向けの籾販売に依存している実態が分かった。 以上の新知見について、当年度の研究成果として学会発表で明らかにすることができた。
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