研究概要 |
1.栽培試験:マメ科作物(乾李)-稲(雨季)体糸の圃場試験 水稲栽培後の乾季作物としてマメ科植物の輪作体系を検討した。処理区は無施肥区、籾殻薫炭施用区、消右灰施用区および化学肥料施用区の組み合わせによっている。この結果、薫炭および消石灰施用区は他の区に比べて有意に収量が大きく、特に薫炭施用区はすべての区に比べて最も収量が高かった。次に、ピーナツの収穫後、緑肥作物マメ科ナタマメの作付け有無別の試験区に、続く雨季に水稲を栽培した。この結果、イネの収量は薫炭施用区で有意に無施肥区より大きく、さらに薫炭と緑肥としてのナタマメを水稲前に作付けすることによって標準区に比べて約30%程度化学肥料を低減させることができることが明らかになった。 2.農家経済調査の実施 乾季作物を導入予定のモデル農村において、1)過去2ヵ年の水田土地利用および収量、2)リスク対処行動、について聞き取り調査を実施した。この結果、当該村はコメの収量からみると大きく3つの地域に分けることができた。また、村の7割でうるち米のKDML105を作付けているものの、農家は自家飯米用としてもち米のRD6も同時に作付しており、特に、複数の圃場を持つ農家は、土壌条件、距離、家族数などを考慮しつつ当該水田の十地利用を決定していることが示唆された。リスク対処行動として、農業所得が半減すると想定した場合に、8割弱の農家は消費支出、特に飲食費をきりつめようとすることが明らかになった.また、一昨年度の調査で収集したデータ分析をすすめ、3)村の労働力人口と家族形態・家族数から、乾季作導入が見込まれる農家世帯の特徴を明らかにした。 3.水利実態調査の実施 天水田稲作地帯における深井戸(30m)の地下水利用の持続性を評価するため、地下水位の変動特性、動水勾配および地下水質について調査分析を行った。その結果、地下水位変動に関しては、雨季に地下水位は上昇し続け、雨季の終了期から乾季の開始期にかけて高い地下水位が維持され、その後,低下することが明ちかになった。地下水位の動水勾配に関しては、観測した井戸16基のうち、比較的高位部にある13某の井戸の動永勾配はほぼ平行であったが、低位部にある3基の地下水位は高位部と比べて約2,5m低いことがわかった。このことから、高位部と低位部は地下水帯が異なる可能性があることが示唆された。地下永質に関しては電気伝導度(EC)が30~80mS/m、PHは7.0程度であり、灌漑水としては良好であることが示された。
|