栽培試験分野では、これまでの試験結果をもとに、普及に資する技術とするために、農家圃場試験を実施した。2村から選定した2戸の農家の協力を得て実証試験をした結果、いずれの圃場においても、モミガラ炭化物の利用は水稲の収量を良くするという結果になった。また、この試験に先立ち、簡易モミガラくん炭機によるくん炭製造を農村にて紹介するデモンストレーションを行なった。 農家経営・農村社会分野においては、昨年度に引き続き、「ソイルドクター」に認定されたリーダー農家からの聞き取り調査を行い、技術普及のシステムについて検討した。また、都市部から農村部へ環流してくる農家世帯員に着目し、ライフヒストリーの調査を行い、農村へUターンする理由について明らかにした。これらの結果を関係学会で報告した。 地下水測定に関しては、地下水変動特性について、前年度に引き続き地下水位変動のデータ収集を継続した。また、地下水利用が地下水位に及ぼす影響を明らかにするべく、揚水試験および地下水利用農家に揚水実態の聞き取りを行った。その結果、現行の地下水利用が地下水位の変動に及ぼす影響は小さく、地下水位変動には,対象地区外での地下水利用が大きく影響することが示唆された。これらの結果をまとめて学会等で発表した。 科研の最終年度に当たるために、現地の協力機関であるウボンラチャタニ稲作試験場の栽培・土壌分野の研究者を鳥取大学に招へいし、これまでの研究成果の集約および、今後の展開等について話し合いを行なった。
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