研究課題
1. 2010年3月、中国甘粛省張掖市の荒漠草原にダスト発生モニタリングシステムを設置した。設置は中国科学院・寒区旱区環境工学研究藩の協力のもとで行われた。観測サイトは年降水量が150mmの半乾燥地帯であり、「河西回廊」と呼ばれるダスト発生源である。植被率は10~20%であり、植生量とダストの発生の関係を探るうえで、興味深い場所であることが示唆された。2. ダストの発生と植被率の関係について定式化し、黄砂発生源である北東アジアにおける黄砂リスクの評価、黄砂被害の軽減および現場における砂漠化防止事業の基礎資料として役立っ「黄砂ハザードマップ」の試作品を公表した。3. ダスト発生時期における土壌表層の土壌水分をモニタリングするための指標を提示した。これは、衛星による地表面温度と熱収支モデルで計算された地表面温度を同化したものであり、モンゴルおよび中国黄土高原における黄砂発生時期の表層土壌水分を観測誤差の範囲内で再現することができた。4. MODIS衛星による昼夜地表面温度と熱収支モデルで計算された昼夜地表面温度を同化した指標NTDI(Normalized Temperature Difference Index)を用い、中国黄土高原における100km×100kmの地表面湿潤度の空間分布を作成した。NTDIは、従来よく用いられている正規化植生指標(NDVI)と比較して、土地被覆(水域、灌漑農地、天水農地、自然草地、裸地)による地表面湿潤度の違いを明確に表しており、地表面湿潤度のモニタリング方法として有効な指標であることが示唆された。
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Geomorphology 114
ページ: 319-325
SOLA 6
ページ: 9-12
ページ: 29-32