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2010 年度 自己評価報告書

神経疾患を引き起こすレトロウイルスの起原とゲノム多様性

研究課題

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研究課題/領域番号 20405039
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分海外学術
研究分野 応用獣医学
研究機関北海道大学

研究代表者

落合 謙爾  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80214162)

研究期間 (年度) 2008 – 2011
キーワードトリのグリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 分子系統進化 / トリ白血病ウイルス / レトロウイルス
研究概要

いわゆるトリのグリオーマso-called fowl gliomaは1930~60年代に主にヨーロッパで発生していた原因不明の疾患であった。研究代表者らは国内初発例を発見し,本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本疾患は研究代表者の知る限り,自然界で発生する動物の脳腫瘍の中でウイルスとの因果関係が実験的に証明された初めてのグリオーマと思われる。その後,ゲノム解析によって原因ウイルスであるトリのグリオーマ誘発ウイルスfowl glioma-inducing virus (FGV)は既知のALVではなく組み換えによって神経病原性を獲得したものと推察された。また,FGVはグリオーマのほか,小脳低形成,非化膿性脳炎・心筋炎,神経周膜腫を引き起こすことが明らかになった。一方,国内で発生した採卵鶏のグリオーマの検索から,本疾患はFGV とは異なるALV, TymS_90によっても誘発されることを明らかにした。しかし,FGVが国内の日本鶏群の中で新たに出現したウイルスなのか,FGVが古くから日本鶏に蔓延していたものなのかは明らかにされていない。また,ALV は主に造血器系腫瘍を誘発するが,その一株であるFGVやTymS_90がどのように中枢神経系への腫瘍原性を獲得したかについても不明のままである。
これまでの本疾患の疫学的知見に基づいて考察すると,FGVはヨーロッパの在来鶏を介して日本鶏に蔓延したか,逆に持ち出された可能性が高い。一方,FGVとは異なる経緯を辿り別個に神経系への腫瘍原性を獲得したと思われるTymS_90の出現により,これらALVは組み換えや変異により容易にあるいは偶然に神経系への腫瘍原性を獲得し得るゲノム構造を持ち,日本国内で出現した可能性も考えられる。これら2つの可能性を検証し,神経系に病原性を持つALVの出現経緯とゲノム多様性を明らかにするには,ヨーロッパ産の鶏とこれと関連をもつ日本鶏から収集したALVとFGVやTymS_90を分子生物学的に比較する必要がある。以上の背景を踏まえ,本課題では神経病原性ALV出現の経緯とゲノム多様性を明らかにするため,ヨーロッパ産の系統(内種)およびこれらと関連をもつ鶏を対象に神経病原性レトロウイルスの疫学調査を実施した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hepatic myelolipoma and amyloidosis with osseous metaplasia in a Swan Goose (Anser cygnoides)2009

    • 著者名/発表者名
      Hatai, H., Ochiai, K., et al.
    • 雑誌名

      J.Comp.Pathol. 141(4)

      ページ: 260-264

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of avian leucosis virus genome by a nested polymerase chain reaction using DNA and RNA from dried feather shafts2009

    • 著者名/発表者名
      Hatai, H., Ochiai, K., et al.
    • 雑誌名

      J.Vet.Diagn.Invest. 21(4)

      ページ: 519-522

    • 査読あり
  • [学会発表] 九州地方の一日本鶏群で見つかった神経病原性レトロウイルス2010

    • 著者名/発表者名
      越智章仁ら
    • 学会等名
      第149回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      日本獣医生命科学大学,東京
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] 新たに分離された神経膠腫誘発レトロウイルスの分子系統解析と神経病原性の比較2010

    • 著者名/発表者名
      中村小百合ら
    • 学会等名
      第149回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      日本獣医生命科学大学,東京
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] アトキソプラズマ症の病態解析2008

    • 著者名/発表者名
      森真依子ら
    • 学会等名
      第146回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      ワールドコンベンションセンターサミット(シーガイア),宮崎
    • 年月日
      2008-09-24
  • [備考]

    • URL

      http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/organization/comp-pathol/daimoku-glil.html

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公開日: 2012-02-13   更新日: 2016-04-21  

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