研究課題/領域番号 |
20405040
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
前田 秋彦 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (70333359)
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キーワード | 蚊媒介性感染症 / フラビウイルス / 中国 / 日本脳炎ウイルス / 広東省 / 疫学調査 / デングウイルス / ウエストナイルウイルス |
研究概要 |
本研究は、蚊媒介性のフラビウイルス感染症を対象として、1.安全で効果的な検査法を開発すること、および2.中国・広東省でのフラビウイルス感染症の疫学的解析を行うことを目的とし、4年目となる本年度は以下に示す成果を得た。 1.フラビウイルスの安全で効果的な検査法を開発:昨年度、これまでの本研究課題で、レポータータンパク質(赤色蛍光タンパク質)を発現するウイルス様粒子(DsRed-VLP)を用いた中和試験法に使用するDsRed-VLP作成の改良法を開発した。本年度は本法を用いて作製したDsRed-VLPが実際の中和試験法に使用できるか否かについて詳細に検討した。これまでの私たちの研究で作成し、その中和抗体価が明らかである各種の動物感染血清を用いて、従来法および新法により作製したDsRed-VLPの中和抗体価を比較検討したところ正の相関が認められた。したがって、改良法によって作製したDsRed-VLPを中和試験法に使用することが可能であると考えられた。 2.中国・広東省でのフラビウイルス感染症の疫学的解析:本年度は、中国・広東省の1978年から2010年までの30年間のデング熱およびデング出血熱の発生と、気温、湿度、目射量や降水量などの気象因子との相関関係について調査・解析した。その結果、以下のことが明らかとなった。広東省では、10年毎に比較的大きなデング熱の流行が認められるが、近年、患者数は激減していた。また、今回調査した気象因子については日射量および湿度と正の相関が認められた。しかし、今回使用した気象データは月単位の荒いものであり、よりメッシュの細かいデータを収集することによって解析の精度を上げる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、(1)安全で効果的なフラビウイルスの検査法を開発すること、および(2)中国・広東省でのフラビウイルス感染症の疫学的解析を行うことである。(1)についてはDsRed-VLPを用いることにより、感染ウイルスに特異的(間違いが少ない)で安全(生きたウイルスを使わない)な検査法を開発することができた。また、(2)については共同研究者の中国・広東省CDCのグループの協力の下、毎年の現地調査で興味深い知見を得つつあり、本研究の目的は概ね順調に達成されつつあるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は平成24年度が最終年度である。過去4年間に研究目的は概ね達成されつつあり、今後の研究の変更は考えていない。したがって平成24年度も、本年度と同内容の研究を継続する。また、これまで得た研究成果についての論文を執筆中であり、本研究活動での研究の総括と、本研究の継続と発展のための研究計画の作成を行う予定である。
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