研究課題/領域番号 |
20405044
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
久保 成隆 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40134506)
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研究分担者 |
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70187970)
林谷 秀樹 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30180988)
多羅尾 光徳 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60282802)
渡邉 泉 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30302912)
佐藤 幹 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20250730)
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キーワード | メコンデルタ / サルモネラ / 大腸菌 / 指標微生物 / 抗生物質 / マーカー物質 / 重金属汚染 / 種特異蓄積 |
研究概要 |
最終年度のため、各グループが研究成果をまとめ、統合モデルに組み込むことを目標とした。各グループ内での研究成果の取纏め目標は概ね達成できたが、定量的に数式化するまでには至らなかった。以下、成果を略述する。第一グループ:豚を中心に抗生物質使用の聞取調査、飼料の基本組成の分析調査を実施し、養豚産業は自然環境利用の循環型で、抗生物質使用は世界水準と比べて問題がないレベルであるとの結果を得た。サルモネラの分布に関しては、月毎9地点で観測した結果、菌は本流や大規模支川では検出されず、養豚場近くのクリークでのみ検出された。人、家畜、野生動物と関連の深い血清型が分離され50%が薬耐性菌であった。これよりサルモネラ分布は高密度でなく、その由来は家畜などの保菌動物によるものと推測された。第二グループ:抗生物質SMX(sulfamethoxazole)を下水、SMT(sulfamethazine)を家畜排水の識別指標として利用できることを見出した。サンプリング水のSMT/SMX比を調べた結果、メコン川と運河の水は家畜型と都市型の中間であった。また、メコン川本流の抗生物質濃度は低いが、総量としては大きいことも判明した。指標微生物の汚染源の特定を目的に、rep(repetitive element palindromic)-PCR法でカントー市の糞便汚染状況を調べ抗生物質の汚染状況と比べてrep-PCR法の有用性を確認した。一方、メコン川、運河、発生源地点でのサンプリング水中の微量元素の分析から、元素の動態をパターン分類できグループ分けが可能なこと、発生源(牛、豚、鶏)によって元素組成が異なり、下水の挙動解析に有効であること等が判明した。第三グループ:メコンデルタの運河網での流水解析とSalinity, Water ageなどの物理的数値モデルに、生化学的解析能力を付加した。湖沼等でのボックス生態系モデルを運河網に適用し、多数のボックス結合体とし、ボックス内とボックス間での汚染物質の動態解析を可能とした。解析対象は、植物プランクトン濃度、デトリタス濃度、栄養塩濃度、溶存酸素濃度の4項目で、細菌、抗生物質、重金属などの動態が数式化されれば、直ちに統合モデルに組込可能である。
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