現在、熱帯地域で急速に進行する経済発展とグローバリゼーションにより、伝統的な植物資源利用が脅かされている。植物資源採集・生産の場の変容、利用の知識の消失、植物資源の多様性の低下が同時に進行し、場所によっては危機的な状況にある。本研究は、以上のような状況の下、近年特に顕著な経済発展をとげつつあり、グローバリゼーションの影響を色濃く受けている、東南アジア大陸部の山地部(ラオス北部、ベトナム中西部)と平原部(タイ東北部、ラオス中部)を調査対象とし、伝統的植物資源利用の変化について詳細に明らかにすること、さらにいくつかの植物資源をとりあげ、近年の分布域の変化・遺伝的多様性を明らかにすること、また、特に消失が懸念される種・品種を同定することを目的として実施する。
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