研究課題/領域番号 |
20405049
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
本道 栄一 山口大学, 生命農学研究科, 教授 (30271745)
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研究分担者 |
前田 健 山口大学, 農学部, 教授 (90284273)
水野 拓也 山口大学, 農学部, 准教授 (90398826)
竹松 葉子 山口大学, 農学部, 准教授 (30335773)
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キーワード | コウモリ / ウイルス / 新興・再興感染症 / 発信機 / テレメトリー |
研究概要 |
コウモリを自然宿主とするウイルス新興感染症が世界を震撼させている。最近では、エボラ出血熱ウイルス(レストン株)およびヘニパウイルスに対する抗体がPteropus属オオコウモリから東南アジア諸国で広範に検出されてきている。一方で、オオコウモリの生態があまりよく知られていないことから、ウイルス性新興感染症の出現に関しては、その出現予測が極めて困難な状況にある。そこで、2008年度以来、東南アジア諸国のオオコウモリにおける各種ウイルスに対する抗体の保有率を調査するとともに、タイ国においてライルオオコウモリに対するテレメトリー調査を実施してきた。結果、オオコウモリ由来新興感染症が、オオコウモリとともに東アジアへやってくるとすると、それはフィリピンが中継点になると予測をたてた。そこで、本年度はフィリピンでのオオコウモリに対してテレメトリー調査を実施した。フィリピン政府の許可の下、ルソン島東部のポリリオ島にて、2頭のオオコウモリ(Acerodon Jubatus)に対してArgos衛星への発信機を装着した。一頭は、アメリカ領サイパン近くでシグナルが検出された。また、もう一頭は、太平洋上であるが、小笠原諸島との連絡を示唆するような位置でシグナルが検出された。これらの結果から、フィリピンは、マレーシアーインドネシアルートの他、アメリカルート、台湾ルートの他、直接的に小笠原諸島とも連絡する様々なルートの中継点となっていることが明らかとなった。オオコウモリ由来の新興感染症は、ブタを介するケースが数多く報告されている。フィリピンのある地域では、頻繁にオオコウモリが現れる木にブタが紐でつながれている事例が数多くあり、その周りではイヌ、ネコ、ニワトリ、水牛、ウマが共存する状態が確認された。一方、森林の盛衰に関するデータとオオコウモリの行動パターンをあわせて解析するには、オオコウモリが集団で生息する地点を検索しなければならない。これが今後の課題である。
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