研究概要 |
平成20-21年度に実施した久留米、北京、内モンゴルでの大気及び個人暴露の測定結果について、データの解析を行い、春・秋・冬の季節変動と地域特性について比較検討を行った。久留米での測定結果では、(1)北京、久留米共にPM2.5個人暴露量と大気中粒子状物質PM2.5重量には相関性を認め、季節変動では冬期で春・秋期に比較して高値を示し、その要因として逆転層などの関与が示唆された。(2)PM2.5の週内変動では、週末に比較して平日に高値を示したが、交通量で比較した場合には明確な差は認めなかった。(3)構成成分分析では、化石燃料由来と考えられるPb,SO_4^<2->,有機炭素成分(日本環境衛生センター分析)が秋期に北京で久留米に比較して高値を示した。(4)PM2.5個人暴露量と喫煙行動と明確な相関を認めず、久留米では検出限界値以下であった。久留米と北京の測定結果の比較では、(1)北京のPM2.5個人暴露量と大気中粒子状物質PM2.5に相関性を認めた。(2)久留米では大気中PM2.5及び個人暴露量は共に低値を示した。(3)両地域ともに大気中PM2.5は、秋期よりもむしろ冬期と春期に高値を示した。(4)大気中PM2.5の高い地域での個人暴露の推定には、本実験で用いた個人暴露測定機器が有用であることが示唆された。一方、砂塵の内モンゴルと桜島噴火時の鹿児島市での大気中PM2.5の測定から、粒径0.5ミクロンよりも微小な粒子が各39.2%、44.4%程度含まれていた。これらの結果は、砂塵及び火山性粒子であっても抹消気道に影響を与える粒子が含まれていることを示唆していた。COOP/WANCAチャートを中国(北京、上海)、日本(下関、熊本)、韓国(ソウル、チェジュ島)で、健常者、呼吸器罹患者(COPD,喘息)で測定し、現在そのデータの入力と解析を行っているところである。
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