研究概要 |
【海外フィールドワーク】 : ベトナム、マレーシア、ネパール等の複数のアジア地域において、飲用井戸水を採取した。その後ICP-MSを用いて飲用水に含まれる無機物質の濃度を測定中である。特に、マレーシアでは、マンガンの濃度がWHOの水質基準をこえる程高値であった。さらに、ヒ素およびウランについて、WHOの水質基準をこえる飲用井戸水を発見した。さらに、マンガンとヒ素の濃度について相関関係を認めた。これらの情報は、大規模調査や次の対策を促すために、論文として国際科学雑誌に迅速に投稿された(Kato M et al, Toxicol Environ Chem, (in press), 2010等)。 【重金属除去剤の開発】 : ヒ素が、アミノ酸を標的とした癌遺伝子産物の活性修飾を介して発癌毒性を発揮する可能性を提唱した。さらに、この機構に基づく新しい浄化方法を開発し、特許申請するとともに国際科学誌に投稿した(Kato M et al, J Cell Biochem, (in press), 2010等)。 【重金属の発癌毒性解析】 1)細胞内に含まれるヒ素濃度を原子吸光光度計およびICP-MSを用いて測定することに成功した。 2)ヒ素による発癌毒性を抑制しながら、ヒ素の抗癌作用を抑制しない薬物を見つけ、白血病等に使用されるヒ素を含んだ薬物のサプリメントとして活用できる可能性を提唱した(特許申請中)。 3)海外フィールドワークでの飲用水無機物質の濃度を基に、新規に発癌毒性を持つ可能性のある重金属を発見した。さらに、この重金属が、細胞内シグナル伝達分子であるSrc、FAK、ERK、コラーゲン分解酵素等の活性を修飾し、足場非依存性の細胞増殖や細胞浸潤に関与している可能性を、試験レベルで証明した。今後、迅速に論文に投稿する予定である。
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