研究概要 |
従前の基盤B海外学術調査(04-06年)を発展させ東アジア3ヶ国(日本、韓国、中国)を中心にアジア各国での高齢女性の生活習慣病(含メタボリック症候群)、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患,脳血管障害),認知症等、検査成績、治療状況、食生活、病識、遺伝子変異をフィールド調査し、健康長寿を目指すコホート研究である。ジェンダーに基づく調査拠点の各国への基盤整備も目標とする。今年度は昨年度、共同研究協定を結んだ、韓国Samusung大学産婦人科Byoon主任教授中国四川医科大学老年病科Dong主任教授、(代理Ding准教授)に本邦を訪問頂き以下の調査成績を報告して頂き、本邦の結果と合わせ比較検討を行った。調査項目(1)肥満度,血圧,空腹時血液脂質値,血糖値、HbA1C,肝腎機能,血圧等の基礎指標値,各種ホルモン血中濃度(2)合併症,家族歴、(3)basic及びinstrumental ADL等のCGA(高齢者総合機能評価)、(4)HRTへの期待項目の前回調査項目に加え、(5)腹囲測定を追加,メタボリック症候群発症率(診断基準は各国別とWHO,日本の3法併用)、(6)患者意識,(7)食事,運動量,(8)医療費、(9)living will(終末期を含む医療希望)である。中国約500名、韓国約300名の結果が報告された。興味ある結果として本邦と韓国の遺伝子変異(SNP)分布は血管機能、凝固系にて基本的には極めて相同していたが、韓国女性の成績は半数以上にホルモン補充療法が施行され、施行者における一酸化窒素、エストロゲン受容体、プロトロンビン因子活性のSNPの影響が従前の欧米の報告と異なり顕在化していた。閉経後から前期高齢者が多かったので、今後は、後期高齢者にも発展させる方向とした。四川医科大学老年病科(200床)の電子カルテシステムにCGA項目が採用される等、本研究の高齢者臨床への応用も始まっている。
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